新春5日目の日経新聞社説は、国力を高める③として「産業の新たな担い手を育てたい」を掲載している。前世紀後半に戦後の焼け野原から「経済大国日本」の世界チャンピオンとなった国力を21世のいま、どう産業空洞化の国内閉塞感を挽回すべきかの提言である。

  確かに経済大国時代は、産業ピラミッド頂点に松下・ソニー・ホンダなど、海外有力誌の表紙を堂々と飾る松下幸之助や井深・盛田、本田宗一郎など小さな町工場から世界に雄飛した成功物語で、平和産業で成功の日本人魂を奮い立たせてくれたものだ。

  それら代表格の松下電産改めパナソニック、ソニー、シャープなど家電産業の時流フォローが、「失われた日本20年」国際地位の地すべり降下同様、アップルやサムスン電子の後塵に甘んじる現状を、草葉の陰から創業者たちは「世界の時流」に乗れない後輩たちをどう見ているか。

  社説での論旨では、新たな担い手に「隠れたチャンピオン」の存在に注目している。「モノづくり日本」の得手は、いまも厳然と世界に通用する技術・サービスを保持する中小堅企業群だと明言する。確かに時流のスマートフォンはアップル・サムスンに歯が立たなくても、その構成部品群では圧倒的に日本パーツ・メーカーが独占すると。

  阿部政権の「日本を取り戻す!!」就任会見の本命は、「政権の使命が強い経済を取り戻すこと」だというが、経済の活性化は政治力だけで達成できるものではなく、実際の経済の担い手である個人や企業に新たな挑戦意欲を踏み出させる社会システムにあるのではないか。

  その大事な起業の流れを太く、大きく確保するために欠かせない人体の血流である新産業創出の「リスクマネー確保」の発想転換を政府に求めるのも大いに結構だ。優秀な中小ベンチャー企業の実例記事紹介は、新たな起業発想への勇気を沸かせてくれる。

  できれば、この際単なる「モノづくり」産業の新担い手だけに拘らず、経産省産業構造審議会の経済社会ビジョンでの「人を活かす社会ビジョン」も含めた価値創造リード型の『生涯現役社会』を見据えた発想に則る今後10年間での新産業1,000万人規模就業社会づくりへの着想へとスケールアップ願いたいと切望する。  

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