「生涯現役で認知症予防」中日新聞Web
2012年10月24日 お仕事 「 指 の 体 操 を し ま す、 イ チ、 ニ イ、 サ ン、 シ、 ゴ 」
名古屋市南区のアパートに高齢者が集まり、体操教室が始まった。NPO法人「希望・あすなろ」が、月一回開く高齢者サロン。理事長の久野矢予威(くのやよい)さんが、張りのある声で導いていく。参加した女性たちは椅子に座り、童謡を歌いながら足を動かしたり、肩を回したり。体をほぐした後は、指で編める編み物でマフラー作りを楽しんだ。
久野さんがNPOを発足させたのは2009年4月。高齢者が認知症になることなく、「生涯現役」で過ごせるようにとの願いを込め、認知症の予防と早期発見を柱に活動している。サロンのほか、市内の介護施設にスタッフと出向き、脳トレと体操を組み合わせた「健康楽習」をする。認知症の早期発見ができる人材の育成講座も開くなど、家庭や地域で予防に取り組む環境づくりを目指す。
岐阜県で生まれ育ち、高校卒業後は名古屋拘置所の刑務官に。出産で退職したが、社会人になってから給料の一部を児童養護施設に寄付するなど「人の役に立ちたい」との思いが常にあった。子育てが一段落して介護施設へ再就職。約6年勤め、一念発起して2000年4月、名城大法学部に入学した。「いじめが社会問題化し、自分も何かできないかと思った」。教員免許を取り、卒業後は社会科の非常勤講師として中学校の教壇に立った。
だが59歳のとき、以前から患っていたひざの半月板損傷の治療の際に受けた精密検査で、年齢相応の脳の萎縮が見つかった。「人の役に立ちたい一心で走ってきたが、自身も元気でいられるように」と決めた。60歳を迎え、地域に貢献するシニアを育成する愛知県主催の「まちの達人」を受講。仲間とともに認知症予防の教室を開く「矢予威クラブ」を始め、現在のNPOに至る。
介護施設での脳トレは、川島隆太東北大教授の研究が基になった「学習療法」を参考に、計算や文字の読み書きを繰り返す。高齢者の意欲に応じて、スタッフとコミュニケーションを取りながら無理なく進められるよう気を配る。
最近は自宅にこもりがちな高齢者が外へ出られるように、話し相手をするボランティアも始めた。「仲間に恵まれ、活動を続けてこられた。恩返しの気持ちも込めて地域に尽くしたい」との思いを強くしている。 (福沢英里)
名古屋市南区のアパートに高齢者が集まり、体操教室が始まった。NPO法人「希望・あすなろ」が、月一回開く高齢者サロン。理事長の久野矢予威(くのやよい)さんが、張りのある声で導いていく。参加した女性たちは椅子に座り、童謡を歌いながら足を動かしたり、肩を回したり。体をほぐした後は、指で編める編み物でマフラー作りを楽しんだ。
久野さんがNPOを発足させたのは2009年4月。高齢者が認知症になることなく、「生涯現役」で過ごせるようにとの願いを込め、認知症の予防と早期発見を柱に活動している。サロンのほか、市内の介護施設にスタッフと出向き、脳トレと体操を組み合わせた「健康楽習」をする。認知症の早期発見ができる人材の育成講座も開くなど、家庭や地域で予防に取り組む環境づくりを目指す。
岐阜県で生まれ育ち、高校卒業後は名古屋拘置所の刑務官に。出産で退職したが、社会人になってから給料の一部を児童養護施設に寄付するなど「人の役に立ちたい」との思いが常にあった。子育てが一段落して介護施設へ再就職。約6年勤め、一念発起して2000年4月、名城大法学部に入学した。「いじめが社会問題化し、自分も何かできないかと思った」。教員免許を取り、卒業後は社会科の非常勤講師として中学校の教壇に立った。
だが59歳のとき、以前から患っていたひざの半月板損傷の治療の際に受けた精密検査で、年齢相応の脳の萎縮が見つかった。「人の役に立ちたい一心で走ってきたが、自身も元気でいられるように」と決めた。60歳を迎え、地域に貢献するシニアを育成する愛知県主催の「まちの達人」を受講。仲間とともに認知症予防の教室を開く「矢予威クラブ」を始め、現在のNPOに至る。
介護施設での脳トレは、川島隆太東北大教授の研究が基になった「学習療法」を参考に、計算や文字の読み書きを繰り返す。高齢者の意欲に応じて、スタッフとコミュニケーションを取りながら無理なく進められるよう気を配る。
最近は自宅にこもりがちな高齢者が外へ出られるように、話し相手をするボランティアも始めた。「仲間に恵まれ、活動を続けてこられた。恩返しの気持ちも込めて地域に尽くしたい」との思いを強くしている。 (福沢英里)
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