東京大学の秋入学が大学生の新卒就職にもいずれ影響を及ぼしてくることになると思うが、4月新学期・新入社期に苦渋の人生スタートを始めざるを得ない若者や、2012年大量退職期に職場を離れて、仕事に代わる生きがい目標を見つめ直す立場の新人企業OBなど、悲喜こもごもの今春が既に開幕している。

  2007年問題を改正高齢者雇用安定法で、年金給付の支給年齢引き上げと連動させる趣旨から、5年後の今年までまず団塊世代層を対象に職場再雇用システムを政官主導で推進してきた。その間の2009年政権交代で期待の民主導国政など期待はずれも甚だしい有様。遂には財務当局シナリオによる消費税突破作戦が打ち出さされた。

  20世紀のモノづくり付加価値の日本経済から、21世紀はココロづくり付加価値の日本社会で世界に貢献する構造変化を国内外で期待する声があるにも関わらず、いまだ心の豊かさから付加価値を生む理念が見えてこない現状では、わが国の将来像はまだまだ下絵も浮かんでこない。

  昨年の下記新聞論旨を読む限り、就職戦線の局地面だけに眼を奪われて、肝心の21世紀に超高齢社会日本が世界に向けて発信する最大の資産・付加価値の可能性を秘めた人的資源の活用分野・広範なサービス意欲向上型ベンチャーの開発研究が未開拓だと思えてならない。

  その趣旨からも、世界の人的資源の宝庫といえる日本社会に急増する経済社会卒業OBの脳力付加価値生産性を活用するベンチャー起業軍が下記新就職氷河期などピンチからチャンスに活かす好機を迎えていることを声高らかに合唱すべき時を迎えていると訴えたい。  
----------------------------------------------------------------------------------------

  新就職氷河期が、東日本大震災の影響で長引く気配を見せている。一方、2012には団塊世代が大量退職する。2012年問題と新卒採用の関係を探った。

  東日本大震災の影響で、学生の採用内定取り消しを検討する企業が相次いでいる。 2012年度の新卒採用についても影響が及びそうだ。サブプライム問題以来、学生の 就職戦線では新就職氷河期が続いてきたが、今後はより厳しさを増す可能性が出てきた。

  1990年代半ばから2000年代半ばまで続いた前回の就職氷河期では、景気回復と「2007年問題」をきっかけに、就職戦線が「売り手市場」に転じた。2007年問題とは、人口比率が多い「団塊世代」(2001年時点で全雇用者の中で13%強を占めていた)が、2007年から2010年にかけて順次、定年退職を迎えることで、労働力
不足がやってくるという問題である。

  団塊世代の一斉退職を控えて、それまで抑制されてきた新卒採用が活発化した。 同時に、8割以上の企業で再雇用制度が導入され、団塊世代の雇用延長が促進された。60歳で定年退職した団塊世代の多くが、肩書きや待遇面について大幅に見直しをされた上で、65歳まで継続して雇用されるようになった。結果的に、深刻な労働力不足が起きるという2007年問題は回避されている。

  雇用延長された団塊世代は、2012年から順次、65歳を迎えることになる。そのため、「2012年問題」という形で、再び労働力不足が懸念されている。

  2012年問題に伴う労働力不足を補うために、女性の社会進出をさらに推進することが 考えられている。現在、日本の高齢者労働参加率は海外に比べて高いが、女性の労働参加率はまだまだ低い。女性の社会進出が進めば、団塊世代の抜けた穴をある程度 埋めることができると期待されている。

  一方で、2012年問題は、学生の就職戦線を改善するという分析もある。昨年4月に 第一生命経済研究所が公表したレポートによれば、2012年から始まる団塊世代の 大量退職が、新卒採用の押し上げ要因になる可能性があるという。ただ、同レポートでは「その頃の景気動向にもよる」とも分析しており、東日本大震災後の景気動向が 改善されない限りは、まだまだ厳しい状況が続きそうだ。

コメント