テレビ朝日の10日・11日実施の消費税増税に関する世論調査では、支持しない人が先月の51%から54%に増え、支持する人は37%に止まっている。野田内閣支持率は30.3%とやや回復しているが、消費税セットの社会保障改革については、取り組みが十分だと答えた人は僅かに7%で、77%の人が取り組み不十分だとみているようだ。

  増税論議が先行する取り組み状況から、消費税引き上げをめざす野田総理の不退転の決意に対する理解度が広がっていないのも止むを得まい。評論家田原総一朗氏の2月27日付の下記Blogをご参考までに転載したい。
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 【 田 原 総 一 朗 氏 Blog 】 
「 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 」 こ こ が ま や か し だ ! 

野田政権は、17日の閣議で、「社会保障と税の一体改革」大綱を決定した。
消費税増税について「2014年4月に8%、2015年10月に10%」と明記している。
新たな年金制度についても、2013年の国会に法案を提出するとしている。

僕は、この社会保障と税の一体改革は無茶苦茶なものだと思っている。
そもそも、野田さん自身、まったくわかっていないのではないか。
これまでも繰返し述べてきたが、日本の国家予算は税収と歳出のバランスが大きく崩れている。
2011年度を見てみよう。
税収41兆円に対して、歳出は92兆円。大赤字だ。
日本は、世界でいちばんの赤字国家なのである。
この赤字を44兆円もの国債、つまり借金で補っている。
そこで消費税を10%にして、将来世代へのツケの先送りをやめると言う。
しかし、これで問題は解決するのか。
消費税を10%にする。この増税で、歳入は約12兆円増える。
だが12兆円歳入が増えても、借金は44兆円あるので、まだ32兆円余りの借金が残るのである。

借金を減らす方法はふたつしかない。
ひとつは税収を増やすこと、そしてもうひとつは、歳出を減らすことである。
歳入を増やすことが消費税増税なら、歳出を減らすのは何か。
野田さんが減らすと言っているのは、国家公務員の給料と国会議員の歳費だけである。
これらをあわせてもせいぜい5千億円くらいである。
32兆円にはまったく足りない。
10兆円単位で削減できるものは社会保障しかないのである。
具体的には、福祉・医療、教育、地方交付金の削減である。
ここに手をつけるしかない。
ところが、野田さんは、社会保障には触れていない。
逆に、消費税を財源として、最低保障年金を月7万円にすると言っているのである。

いまの年金制度はもう限界である。
たとえば、1980年には1人の老人を現役世代7人で支えていた。
2000年には4人になった。いまは3人である。
いずれ1人の老人を、現役世代1人で支えることになる。
年金制度が破綻しているのは明らかである。
いますぐにでも作り直さなければならない。
それなのに、野田さんは年金制度が破綻しているとは言わずに、最低保障年金を月7万円だと景気のいい話だけをする。これは明らかなウソだ。

社会保障と税の一体改革というと、税は上げるけれども社会保障も上げると多くの人は思っている。
しかし、実は福祉や医療をどこまで減らすかということなのである。
自民党は、その点を追及すべきなのだが、消費税増税の反対しか言わない。
マスコミも、その点に触れない。無難な報道しかしていない。
もちろん厚生労働省の役人たちはこのことをわかっている。しかし、政治家が言わないかぎり、役人は動かない。
役人とはそういうものである。
一方、政治家はきちんと理解していないから、はっきり言えない。
だから何も動かない。
そこが大問題なのである。

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