「ITからICT戦略に転換」をどう捉えるか
2004年8月30日 今月2日(月)・3日(火)両日参加した第4回「電子政府・電子自治体戦略会議」に関しての、賛同を覚える論説を今朝の日本経済新聞“景気指標”欄で見かけましたので、ご紹介したいと存じます。ただし参加してから脳裏から離れないのは、「ITからICT戦略に転換」の意味は分かるとしても、高齢者にも確認してもらうための国家戦略が不備であることを痛感します。まさしく大事なことは、「生涯現役社会づくり」の一環としてuーJapan戦略が存在しない限り、「ユビキタス」も「ユニバーサルサービス」も大多数の高齢者層を置いてけぼりにしかねないと思いませんか!
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来年度予算の概算要求に向け、総務省が27日、「ITC政策大綱」を発表した。「ユビキタスネット社会の実現へ向けて」と題し、従来の「情報技術(IT)」という言葉を改め、「情報通信技術(ICT)」と呼び換えた。
「IT」は米国の情報産業で使われた言葉で、通信産業が力を持つ欧州では「ICT」と呼ぶのが一般的。日本でITが定着したのは、米国のインターネット革命の影響を強く受けたためで、2001年に施行された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」も「IT基本法」と呼ばれた。
では、ITとICTと何が違うかといえば、基本的には何も変わらない。ただ、ITバブルとその崩壊を経て、インターネットや携帯電話が普及した今、政治的プロパガンダとしての「IT戦略」に魅力が薄れた面は否めない。今回の名称変更を強く推したのは麻生太郎総務相だったという。
IT戦略は「e―Japan構想」とも呼ばれたが、これも「u―Japan構想」と言い換えた。頭文字のuは「ユビキタス」「ユニバーサルサービス」を表し、いつでもどこでも情報を入手でき、地域や年齢による情報格差のない社会をつくろうという意味だ。
実際の予算案にもこうした考えが強く出ている。まず電子政府・電子自治体の推進を独立した予算項目に挙げ、増額を要求。携帯情報サービスや無線ICタグなどの普及に向け、電波の有効活用を打ち出し、経済原則に基づく周波数の開放政策を盛り込んだ。
e―Japan構想は2005年が目標年次だったが、u―Japan構想は2010年を念頭に置く。一連の環境整備が進めば、6年後には現在の3倍近い約87兆円のユビキタス関連市場が生まれ、約120兆円の経済波及効果をもたらすと試算する。
中でも今後期待できるのが「新三種の神器」に象徴されるデジタル家電分野だ。人と人とだけでなく、人とモノ、モノとモノとが情報交換を始めれば、情報需要は爆発的に拡大する。「ICT」はまさにその期待を込めた言葉だ。(編集委員 関口和一)
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来年度予算の概算要求に向け、総務省が27日、「ITC政策大綱」を発表した。「ユビキタスネット社会の実現へ向けて」と題し、従来の「情報技術(IT)」という言葉を改め、「情報通信技術(ICT)」と呼び換えた。
「IT」は米国の情報産業で使われた言葉で、通信産業が力を持つ欧州では「ICT」と呼ぶのが一般的。日本でITが定着したのは、米国のインターネット革命の影響を強く受けたためで、2001年に施行された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」も「IT基本法」と呼ばれた。
では、ITとICTと何が違うかといえば、基本的には何も変わらない。ただ、ITバブルとその崩壊を経て、インターネットや携帯電話が普及した今、政治的プロパガンダとしての「IT戦略」に魅力が薄れた面は否めない。今回の名称変更を強く推したのは麻生太郎総務相だったという。
IT戦略は「e―Japan構想」とも呼ばれたが、これも「u―Japan構想」と言い換えた。頭文字のuは「ユビキタス」「ユニバーサルサービス」を表し、いつでもどこでも情報を入手でき、地域や年齢による情報格差のない社会をつくろうという意味だ。
実際の予算案にもこうした考えが強く出ている。まず電子政府・電子自治体の推進を独立した予算項目に挙げ、増額を要求。携帯情報サービスや無線ICタグなどの普及に向け、電波の有効活用を打ち出し、経済原則に基づく周波数の開放政策を盛り込んだ。
e―Japan構想は2005年が目標年次だったが、u―Japan構想は2010年を念頭に置く。一連の環境整備が進めば、6年後には現在の3倍近い約87兆円のユビキタス関連市場が生まれ、約120兆円の経済波及効果をもたらすと試算する。
中でも今後期待できるのが「新三種の神器」に象徴されるデジタル家電分野だ。人と人とだけでなく、人とモノ、モノとモノとが情報交換を始めれば、情報需要は爆発的に拡大する。「ICT」はまさにその期待を込めた言葉だ。(編集委員 関口和一)
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