「バカの壁」で面白いのは、何といっても脳への入力、出力という面からの、養老氏が紹介する[脳内一次方程式]Y=aXの考え方です。

 人間の五感から入力される情報Xに、脳の中でaという係数を掛算した結果、意識的な出力の運動Yがどう反応するか、係数のaの重要な関与が非常にわかり易い説明になっています。

 『生涯現役』という言葉だけの抽象論では、自分に関連性がないと思った人は、まずa=0に近くて、無関心派としてその反応は、ほとんど期待されない人といえます。

 現役会社人間として、長い間組織に組み込まれて拘束された上に、これからもまだ『生涯現役』など真っ平御免と拒否反応の人は、a=マイナス型だろうと考えられます。

 aがプラスで「生涯現役」の熱心な実践家は、大いに結構ではないかといえても、極端なa=プラス無限大へと突っ走っては、「生涯現役原理主義者」の視界狭窄症の弊害が生まれる懼れがありますよと、養老著者から警告されることに対しては、深く注意を要するものと心得ております。     以上               

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