「60歳以降の過ごし方をアクティブな視点で考える」(4回シリーズでご紹介)と語る、生きがい支援システム研究所の臼倉登貴雄所長「生涯現役論」?を一昨日、昨日に続き3回目を本日転載させていただきます。

 〔生涯現役論〕?

 60歳以降の過ごし方を「アクティブ」な視点で考える

円熟世代の価値観やライフスタイル
 では、生涯現役を指向する円熟世代はどのような人たちかというと、行動様式や生活意識あるいは老後の意識に、かつてのシルバー世代と比べ大きく変わってきていることがわかる。(別表−2参照)
 図を詳しく説明すると、心身状態では、かつてのシルバー世代は病弱、陰気、頑固、猜疑的といわれていたのが、生涯現役世代では健康で、明るく元気で、柔軟で、快活である。
 生活の意識では、かつてのシルバー世代は伝統的、保守的、悲観的といわれていたのが、生涯現役世代では希望を持って目標を立てたり、合理的に考えたり、未来指向的で夢に燃えている。
 生活スタイルは、かつてのシルバー世代は質素、倹約、無趣味といわれていたのが、生涯現役世代では持っているお金をうまく使い、余裕をもって趣味やスポーツに生きていきたいと変化してきている。
 老後観では、かつてのシルバー世代は受け身で終末を待つ、また年寄りは年寄りらしく、隠居、余生を送るとという傾向であったが、生涯現役世代ではいつまでも生きているうちは元気で若くいたい、活動的で、明るく元気で、積極的で、死ぬまで元気でいたい、生きている以上は社会とのかかわりを持ち続ける、元気で働けるうちは働く、第二の人生として謳歌する、という考え方の人たちも多くなっている。
 老後の生活では、自分の息子や嫁に頼ろうという人は少なくなり、自分たちで自立し、弱ったときは社会の仕組みになんとかしてもらうという人が増えてきている。また、自分の持っている能力をボランティア活動などで人の役に立てたいと思っている。家族との生活形態では、同居よりは自分たちで生き、子供たちの世話にはなりたくないという人も増えてきている。
 財産の問題では、自分の財産をそのまま子供たちに残していくということでなく、自分の財産は自分で好きなように分配するという意識が強くなってきていて、遺言で分配を決めたり、生前に分与しておくというように変わってきている。
 仕事と余暇の関係については、働くことが中心で余暇は付随しているのだという考え方が、仕事は仕事、余暇は余暇、むしろ余暇のために働くという考えの人も増えてきている。
 行動スタイルについては、趣味やスポーツへの関わり方では、ゲートボールや民謡、盆栽などから体を積極的に動かして元気でやれるテニスや水泳、山登りに挑戦するなど、行動は活発化してきている。旅行も国内の温泉旅行といったものに限らず、海外旅行などに積極的に出掛けるようになっている。
 流行感覚では、服装や身だしなみについても、地味なものから明るく行動的なものに、そして流行にも敏感になってきている。
 このように円熟世代は、かつてのシルバー世代とは価値観やライフスタイルにおいて大きく変わってきていることがわかる。

  別表−2  生涯現役を指向する円熟世代の価値観やライフスタイル

心身状態 ・健康で明るく元気、柔軟で快活である
・健康や体力に強い関心を持ち、常に維持に務めている
・気持ちも体力も若々しい

生活意識 ・希望を持って目標を立てるなど、未来指向で夢を持っている
・持っているお金をうまく使い、余裕を持って生活をエンジョイする
・興味や関心があることには積極的に行動する
・仕事中心でなく余暇も生かしている
・明るく行動的な服装で流行にも敏感である
・趣味やスポーツ等をとおして人とのかかわりを多くつくる

老後の意識 ・生きているうちは元気で若くいたい
・社会とのかかわりを持ち積極的に行動する
・働けるうちは働く
・息子や嫁に頼ろうとせずに自分達で自立して生きていく
・財産は自分で好きなように使うか分配する
・余生でなく第二の人生として生きる
                               つづく

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